GDPと給料 2017 12 16
よく新聞記事で、
日本の政府債務は、
対GDP比で200%以上であるという記事を見かけますが、
ここに「思考停止」があります。
GDPという大きな数字だから、
みんな、「思考停止」になってしまうのですが、
家計で考えれば、わかりやすいと思います。
たとえば、子供2人、夫婦、高齢の両親という家庭で考えましょう。
最近、子供の教育費が増えた。
小学校、中学校と、子供が大きくなると、教育費が急増するでしょう。
しかも、健在だった両親は、高齢で「医者通い」になってしまった。
医療費や介護費用が増えてしまい、家計に負担がかかるようになった。
ここで、質問を出します。
教育費や医療費が増えたから問題なのか?
いや、それは、間違いです。
問題なのは、20年間、給料が同じだったことです。
20年間、給料が同じで、教育費や医療費が増えれば、
家計は破綻するでしょう。
日本のGDPも、この20年間、同じようなものです。
税収は、GDPに比例しますので、
「GDP×税率=税収」と考えてよいでしょう。
本来、政府は、GDPを拡大させて、税収増を図るべきです。
にもかかわらず、日本政府は、
GDPを「固定化」させて、増税ばかり繰り返しています。
日本政府の政策は、景気に対して、
アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような政策が多いのです。
これは、日本政府自体が、
経済学でいうところの「合成の誤謬」に陥っています。
確かに、A省の主張も正しい。
B省の主張も正しい。
C省の主張も正しい。
しかし、A省、B省、C省の主張を合算すれば、
日本全体としては、間違っているということです。
表向きは「政治主導」と言いながら、
政治家には、経済に詳しい人がいませんので、
結局、官僚が作った政策に対して、黙って「ハンコ」を押しているのが現実です。
これが、政府分野における「合成の誤謬」の発生原因です。
(参考)
経済の分野では、
一人一人の行動は正しくても、
全体で合算すれば、間違いとなることがあるのです。
「正しいこと+正しいこと+・・・=間違い」
よく経済学の教科書にあるのは、
「貯蓄のパラドックス」でしょう。
節約して貯金をすることは、美徳でしょうが、
これは、結果として、経済に対して悪影響を及ぼします。
たとえ一人一人の行動は正しくても、
全体でみれば、間違っているという結果が出ます。
つまり、みんなが貯蓄して消費活動しないということは、
商品が売れないということを意味しますので、
景気は低迷するでしょう。
そうなると、小売業のみならず、
メーカーも経営不振になってきます。
GDPと税収 2016 4 23
私は、2003年に、
「BANKRUPTCY 1995 by Harry E.Figgie,Jr.」
(1995年合衆国破産 H・フィギー・Jr.)という本を紹介しました。
しかし、現在においても、
アメリカ合衆国は、破産していません。
それは、なぜか。
アメリカは、GDPを拡大させる政策を実施してきたからです。
実際に、アメリカのGDPは、急拡大しました。
税収というものは、難しく考える必要はありません。
単純に「GDP x 税率 = 税収」と考えてよいでしょう。
たとえば、年収500万円の人が5,000万円も借りてマイホームを買うと、
おそらく、破産するでしょう。
しかしながら、年収が800万円、1,000万円、1,500万円と増えていくと、
5,000万円の負債も、過大な借金とは言えないでしょう。
アメリカのGDPも、同じように、急速に拡大してきました。
グラフにすれば、急上昇です。